コラム

  1. 健診センターの売上げ向上の対策

健診センターの売上げ向上の対策

はじめに

ここでは、病院やクリニック(健診専門クリニック含む)の経営改善を目的とした、健診センターの利益改善手法について整理します。

健診センターの事務責任者、営業担当やマーケティング担当の方からみると当たり前のことかもしれませんが、いま一度健診センターの売上の構造をご確認いただくことで気づきがあるかもしれませんので、ご覧いただけると幸いです。(意外と本質はシンプルですので。)

Ⅰ.健診センターの利益構造(売上の構造)

よくいわれていることですが、利益を簡単な式にしますと、

利益 = 売上 - 経費

となり、利益を増やすには、「売上を上げること」、「経費を下げること」またはその両方に関して何らかの施策を実施することになります。

今回は「売上を上げること」に焦点を絞って考えてみます。

(経費削減については、別のコラムで今後検討します。)

健診センターの売上をもう少し詳しくみてみると、

売上 = 受診数 × 受診者単価 

となります。

さらに詳しくみてみると、

売上= 受診者数(新規受診者 + 既存受診者 – 流出受診者)×受診者単価<受診頻度 + 受診単価(健診本体料金 + オプション料金)>

となります。

Ⅱ.健康診断の売上増加 対策の方向性

このことから、売上を上げるには、「受診者数を増やす」か「受診者単価を上げる」ための施策が必要であり、そのための基本的な対策の方向性は以下のようになります。

1.受診者数を増やす

上記の式の受診者数の部分「受診者数(新規受診者+既存受診者-流出受診者)」より、受診者数を増やすには下記の①〜③の対策が必要です。

①新規受診者を増やす。

②既存受診者(リピーター)を増やす。

③流出受診者を抑える。

2.受診者単価を上げる

上記の式の受診者数の部分「受診者単価<受診頻度 + 受診単価(健診本体料金 + オプション料金)>」より、受診者単価を上げるには④と⑤の対策が必要です。

④受診者1人あたりの受診回数を増やす。

⑤受診単価を上げる。

健診センターの売上を上げるための施策の方向性としては、これら①〜⑤に集約されるので、あとは、病院や健診センターの経営状況や方針にあわせ、優先順位をつけた上で、具体的な対策を講じることになります。

Ⅲ.健診センター売上向上のための基本的な対策

健診センターの売上向上に関して、それぞれの基本的な対策を検討します。

①新規受診者を増やす

新規受診者を増やすことは、既存の健診センターにおいても重要な課題ですが、健診センターを新規に開設する場合は最優先課題になります。

新規獲得には、「受診者自体の獲得」と受け皿となる「受診枠の拡大」の二通りの方向性が考えられます。

①−a 受診者自体の獲得

新規開設した健診センターの1〜3年目くらいまでは、特に受診者自体の獲得が重要になります。ターゲットとする受診者などにより、営業手法や広告手法を検討し、受診者の新規獲得の活動をすすめていきます。

①―b 受診枠を増やす

既存の健診センターなどでは、特に繁忙期などで受診枠よりも受診の需要が多くなる状態が発生することがあります。

予約が受け皿となる受診枠をオーバーしている場合は営業活動や広告活動をしても、新規の受診者を入れることができないため、受診枠の拡大または繁忙期の受診者を比較的余裕のある時期に移行してもらう手法を検討する必要があります。

受診枠拡大を検討する場合、現在の受診枠の最大値を決めている要因を分析することからはじめます。たいていは人的資源追加または医療機器やシステムの追加に関わることになってきますので、増員あるいは医療機器等の購入と受診枠拡大による売上増の費用対効果をよく検討し、実施することになります。

②既存受診者(リピーター)を増やす

健診センターにおいては、リピーターを増やすことが、売上にとって一番重要なことになります。

健康診断や人間ドックでは、基本的に1〜2年に1回は受診することになるため、数年、十数年にわたって健康診断・人間ドックを受診してもらうことで、いわゆるLTV(顧客生涯価値)が高くなるからです。

健診センターでのリピートしてもらうための基本的な対策としては、ありきたりかもしれませんが、受診者の期待度を超える健診サービスの提供およびリピートを促すような施策(次回受診時のOP検査などの無料・割引サービスなど)がポイントとなります。 特に人間ドックなどは、健診施設を受診者本人が選択することが多いため、この対策が重要となります。

リピート対策については、他業種などでどのような手法を実施しているのかを参考にして、導入できる施策を検討するといいでしょう。

③流出受診者を抑える

流出受診者を抑えることは、「②既存受診者(リピーター)を増やす」ための方策の一つでもあります。人間ドックなどの場合数年に1回しか受けないなど1年毎の受診でない場合もありますが、他施設へ流出していることも考えられます。

リピーターを増やすには、この流出受診者を抑えることに注目する必要があります。

健診センターの健診システムで集計することで、どのくらいの受診者がリピートしていないのか、そしてその中のどのくらいが他施設に流出している受診者なのか分析しましょう。

④受診者1人あたりの受診回数を増やす。

一般的な定期健康診断や住民健診のほか協会けんぽの生活習慣病健診、健康保険組合等が補助する人間ドックなど多くの健診の種類がありますが、そのほとんどは1〜2年に1回しか受診をしない(補助が年1回など)ものですので、健康診断自体の受診回数を増やすことは難しいと思います。

あえて言うのであれば、病院やクリニックを併設している場合は二次検査や精密検査、特定保健指導やそれ以外での栄養相談や運動指導など予防医療関連サービスの提供により来院回数の増加を図ることでしょうか。

また、健康診断以外での来院してもらうことにより、受診者に親近感を持ってもらい、次年度以降の健康診断を受けてもらうなどのリピート対策としても付帯サービスの提供の検討が必要になります。

⑤受診単価を上げる

健康診断の受診単価を上げることも健康診断本体価格については値上げすることはできないので、オプション検査などを受診してもらうことにより受診者一人あたりの単価を上げる手法を検討する必要があります。

人間ドックをメインの健診とする場合には、事前の問診などで、受診者の気になっている健康状況をお伺いする時点や内科診察時での医師による診察の時点で可能であれば受診したほうがよいオプション検査をおすすめすることで、オプション検査を受診していただくようにするなど、受診者によりそった形でのオプション検査実施の体制を整えることなどを検討します。

おわりに

今回は、健診センターの売上向上に関して、売上の構造から基本的な対策を考えてみました。今後はさらに具体的な売上向上に関する手法や経費の削減についても検討してまいります。

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